従業員が私物の端末や未承認のアプリを社内で利用する「シャドー IT」は、日に日に増え続けています。IT 管理者やビジネス リーダーは、こうした状況への対応に頭を悩ませています。

この傾向は急速に広がりつつありますが、それももっともなことで、従業員は、ファイルの作成や共同作業を行うときに普段と同じような使いやすさ、効率性、自由さを求めているのです。シャドー IT がはびこることで、企業は無数のセキュリティ リスクを抱えることになります。しかし、この機会をうまく利用すれば、従来のツールやプロセスを見直し、リスクを最小限に抑えながら生産性の向上とイノベーションを後押しすることもできます。

Google は、効率性とセキュリティのどちらか一方のみを選ぶ必要はないと考えています。この記事では、G Suite を活用し、使い慣れた好みのコラボレーション ツールで従業員の生産性を向上させると同時に、データを保護する堅牢なセキュリティと管理性を実現した IT やビジネスに関するインサイトをご紹介しながら、新時代における IT の役割を確認します。

続きは以下をご覧ください。

シャドー IT

ひと昔前は、職場の私物化といえば、お気に入りのマグカップを持ち込んだり、同僚との私的なやり取りに社内メールを利用したりすることぐらいでした。しかし、タブレット、スマートフォン、クラウドベースのサービスやアプリの普及に伴い、私生活と仕事の境界線が急速にあいまいになりつつあります。

今日、消費者向けの端末やアプリと企業向けのそれらには、ほとんど違いがありません。以前は、ビデオ会議、ドキュメントやプレゼンテーションでの共同作業、別の都市や国にいる人との打ち合わせのためだけに、わざわざオフィスに出向く必要がありましたが、現在では、スマートフォンを使えば、いつでもどこからでも、これらを行えるようになりました。

消費者向けテクノロジーの自由さ、スピード、シンプルさを考えれば、従業員が職場での生産性を高めるために私物の端末やアプリを使おうとするのは当然のことのように思えます。しかし、未承認アプリを社内で利用するような「シャドー IT」により、データ盗難、マルウェア感染、コンプライアンス違反、競合他社の脅威、評判の低下など、企業はこれまでになかったセキュリティ上のリスクをいくつも抱えることになります。

このような新しい環境の中で、IT 管理者はバランスを取るのに苦労することが多くなりました。企業情報を管理し、守りながらも、創造の自由と生産性の向上をサポートしなければならないためです。

Google は、これらをすべて同時に実現できると考えています。この記事では、こうした新時代における IT 管理者の役割を確認します。また、G Suite を活用した IT ソリューションによって、使い慣れた好みのコラボレーション ツールで従業員の生産性を向上させると同時に、重要なデータを安全に保護する堅牢なセキュリティと管理性を実現する方法をご紹介します。

シャドー IT を使っているのは誰か

簡単に言えば、誰でも使っています。

未承認のサードパーティ製アプリやクラウド ソフトウェア サービスは、10 年以上も前からオフィスに浸透し始めました。IT に詳しい従業員が、ファイルの保存、アクセス、共有と、同僚とのやり取りや共同作業を行うのに、よりスピーディで使いやすい手段を模索してきたためです。最近の調査から、およそ 79% の企業に、承認、未承認にかかわらず、消費者向けのファイル共有ツールやコラボレーション ツールを使用している従業員がいることがわかっています1

79% の組織にコンシューマー用ファイル共有ツールと共同作業ツールを利用している従業員がいる

リサーチ会社の Gartner は、IT 関連費用のうち 38% がその企業の IT 予算外から既に賄われていると報告しています。この数値は、2017 年までに 50% に達するとも予測されています2

2013 年に Frost & Sullivan で IT および基幹業務に携わる従業員 600 人を対象に調査を行ったところ、80% 以上が業務の効果と効率を高めるために未承認のサービス型ソフトウェア(SaaS)を使用していることがわかりました3

80% のエンドユーザーが未承認のアプリを使用している

シャドー IT は特定の機能やサービスに限ったことではありません。消費者向けアプリは、企業が直面している日常的な職場の問題を解決するために、広く使用されています。更新のたびに何度も共有したりメールに添付したりすることが必要ないファイル共有や、世界中どこからでも顔を見ながらのビデオチャットなど、その範囲は多岐にわたります。

Accenture の調査によると、従業員の 44% が会社から支給される端末やソフトウェアに不満を感じています4。また、そのうち半数近くが、最終的には消費者向けアプリを業務に使用するつもりであると答えています。

やるべきことは、従業員ができる限り生産性を高められるように支援してあげることです。そのためには、従業員がどのようなツールを求めているのかを理解することが必要です。そして、できる限りそのツールを提供するよう努めるのです。それができれば、組織の文化も新しく生まれ変わるでしょう。

—ベン・フリード(Google 最高情報責任者)

シャドー IT の代表といえばファイル共有だが、幅広いニーズがあるのはコラボレーション

シャドー IT の主なニーズ

職場で消費者向けアプリを使用して解決している最も一般的な問題5:

  • データのバックアップと保管
  • ファイルの共有
  • ドキュメントでの共同作業
  • モバイル端末からの業務遂行
  • ビデオ会議やメッセージのやり取りによるコミュニケーション
  • ソーシャル メディアによるアイデアの共有

IT 管理者の立場からすれば、未承認アプリの利用は会社のポリシーへの違反という問題につながるだけではありません。シャドー IT は、データ盗難、法令遵守、フィッシングやスヌーピングといった詐欺、競合他社の脅威、評判の低下など、企業をいくつものリスクにさらすこととなります。

不吉な名前ではあるものの、シャドー IT は敵ではありません。使い慣れた好みのツールを使うことで、より良くスピーディに仕事をこなしたいと思う従業員の自然な反応なのです。

つまり、従業員は、ファイルの作成や共同作業を行うときに普段と同じような使いやすさ、効率性、自由さを求めているのです。

管理者の最大の懸念は未承認アプリの使用

Ponemon Institute Research, “The Insider Threat of Bring Your Own Cloud (BYOC)

出典: Ponemon Institute© Research、「The Insider Threat of Bring Your Own Cloud(BYOC)」(社内で未承認のクラウド サービスを使用することの脅威)、図 6(上位 3 位)、2013 年

禁止することが答えではない

職場での私物のアプリや端末の使用を抑制したり禁止したりする試みは、まるで、不運なヒーローがダムの水もれの穴を指 1 本で塞ごうとする昔の漫画のようなものです。穴を 1 つ塞げば、別の 10 か所の穴からみるみる水が漏れ出し、しまいにはダムが決壊してしまいます。2014 年の生産性アプリの使用率が 121% 増加したことを顧みれば6、職場で私物の端末やアプリを利用する傾向は、今後もますます勢いを増して伸び続けるでしょう。Forrester の最近の調査によると、69% の企業が BYOD(私物の端末を業務で利用すること)ポリシーを支持しており、その 85% が 2020 年までに BYOD を実施する計画だそうです7

リスクを軽減すべく適切に管理し、導くなら、シャドー IT は企業にさまざまな価値をもたらすことができます。しかし、適切な導きと管理なしでは、逆に価値を破壊しかねません。

—Gartner、「Embracing and Creating Value From Shadow IT」(シャドー IT を受け入れて価値を創造する)、2014 年

それでは、この問題はどのように解決すればいいのでしょうか。Google の提案は、シャドー IT を裏返して考えることです。社内からアプリや端末を締め出すのではなく、クラウド テクノロジーが職場にもたらす価値を認めることが IT リーダーには求められます。そして、未承認アプリのリスクについて従業員を教育するとともに、安全な環境での管理が可能なより良いツールとサービスを従業員に提供する方法を見出すことが大切です。

効率性と自由な選択の両立、セキュリティと自由な選択の両立は不可能であるというのが IT 業界の常識です。Google で勤務する間に、これはまったくの嘘であることに気が付きました。

—ベン・フリード(Google 最高情報責任者)

すべてを可能にする IT

「クラウドを活用すれば、顧客満足や新規顧客の獲得につながる新しいサービスと機能を作り出す力を企業全体に行き渡らせることができます」とは、Google の技術インフラストラクチャ担当上級副社長であるウルス・ヘルツル。「IT 組織の核となるのは、進歩を妨げることではなく、すべてを可能にすることなのです。」

G Suite は、指針となるこの原則を正確に形にするために設計されたクラウド テクノロジーです。企業はこのテクノロジーを使用することで、従業員の生産性向上に向けて壁を作るのではなく、壁を壊すことができます。そのためには、どこからでも、どの端末からでも、適切なアプリケーションや情報に安全にアクセスできる必要があります。

ドキュメントの共有にスタッフの間で使われていた Box や Dropbox の個人アカウントの代わりに、Google ドライブを導入しました。これで、知的財産を一元的に管理できるようになります。

—ブライソン・ケーラー氏(The Weather Company 最高情報責任者)

企業のトップは、従業員をサポートし、生産性の向上を支援しなければなりませんが、従業員に企業の情報ポリシーを守らせる必要もあります。これを成功させるには、誰にでも受け入れられ、使ってもらえるようなファイル共有ソリューションを見つけることが必要です8

—ラリー・ホーズ氏(Gigaom Research、2014 年)

自由、生産性、セキュリティというこのコンビネーションが決め手となり、オーストラリア最大手の小売業者である Woolworths は、昨年に G Suite への切り替えを決意しました。店舗数 3,000、従業員数 20 万人というこの企業は、オーストラリアとニュージーランド全土にまたがる全店舗、全オフィスで、従業員同士がよりよいコミュニケーションを実現でき、より効率的にコラボレーションできる方法を探していたのです。

Google ドライブドキュメントGmailカレンダーハングアウトのほか、Google App Engine をベースにカスタムメイドで作成した、タップするだけでサポートを受けられる iPad アプリを使って、Woolworths の業務運営が一変しました。別の都市や国にいるチームがリアルタイムで共同作業できるようになり、マネージャーは事務所のノートパソコンに縛られることなく、売り場から直接メインのサポート オフィスに連絡できるようになりました。

「Google のおかげで、従業員のテクノロジーの使い方や、従業員どうしのコラボレーションの形が組織のあらゆるレベルで一変しました」と Woolworths Limited の最高情報責任者であるダン・ビーチャム氏は述べています。「それに、Google のテクノロジーなら、ずっと簡単に、安全に、業務を遂行できます。」

ガソリン駆動のエンジンと発電機の製造分野で 100 年の歴史を持つBriggs & Stratton は、G Suite によって消費者市場に進出する方法を獲得しました。また、生産性向上や顧客への対応能力を妨げ、セキュリティ上の脅威に対して無力だった旧式な体制を見直すこともできました。

私たちのネットワークトラフィックの 15% が、安全ではないコンテンツの保存や共有のために使われていて、従業員同士のコミュニケーション不足が業務の非効率化につながっていました。それに気づいたとき、私は G Suite への移行を進めることにしました。

—ブレント・ホーグ氏(Briggs & Stratton 最高情報責任者)

G Suite を使えば、紙のチェックリストや時代遅れのデータベースから、シンプルかつスピーディな Google ドライブに移行できます。これにより、組み立てラインの従業員から営業担当にいたるまで、誰もが、どんなデバイスからでも最新のデータに同期し、それを共有できます。

Briggs & Stratton は G Suite に移行したことで、製造や業務のプロセスを効率化できただけでなく、芝生、庭、アウトドア用の発電装置を新たに 40 モデルも投入し、消費者市場を切り開くことができました。

Google のプラットフォームに切り替えれば、コミュニケーションの問題が解決されるだけでなく、3,000 人の従業員がより革新的になり、より能力を発揮できるようになると信じていました。

—トッド・テスケ氏(Briggs & Stratton 最高経営責任者)

完全かつ安全なソリューション

ビジネスに対応した包括的なツールセットを備える G Suite は、Woolworths や Briggs & Stratton のように、変化するデジタル環境で従業員同士のつながりと効率性を追求する企業に対して、総合的なソリューションを提供します。ファイルの保存や共有にはドライブ、ビデオ会議やチャットにはハングアウト、さらにドキュメント、スプレッドシート、スライドを使用できます。これらのツールは、パフォーマンス、セキュリティ、信頼性の強化に向けた Google の取り組みによって考案され、開発されました。G Suite は、24 時間体制の監視の中、500 人を超えるセキュリティの専門家によって守られ、500 万を超える世界中の企業に選ばれている、高度で安全なインフラストラクチャです。セキュリティを確保しながらイノベーションや生産性向上を実現しなければならない IT 管理者にとって、G Suite はひとつの答えとなるはずです。

詳細な管理レポート、目的に合わせた共有設定、モバイル端末での暗号化、組み込み型アーカイブ、電子情報開示などの管理ツールは、セキュリティの層をさらに厚くしています。これらの機能はすべて、シンプルで一元化された管理コンソールからアクセス可能です。

多くの IT 管理者にとって、管理に手間がかからなくなることで別のメリットが生まれます。自分のやりたい他のタスクに時間を使うことができるのです。「あまり価値を生み出さない日常的な繰り返し作業から開放され、強みを伸ばすことに集中し、新しいやり方で顧客を満足させることができます」これは、Avago Technologies の IT 部門のグローバル責任者である Stanley Toh 氏の言葉です。Avago Technologies は 2006 年に G Suite に移行しました。

G Suite による手間のかからない管理

始めるためのヒント

シャドー IT の利用から学べる最も重要な教訓は、企業が効率性とセキュリティのどちらか一方を選択する時代はもう終わったということです。G Suite は、従業員のニーズを満たし、企業のリスクを最小化する IT ソリューションを実現します。シャドー IT のプラスの可能性を引き出すための最初のステップは、従業員が現在どのようにコラボレーションを行いコミュニケーションを図っているか、現実を把握することです。具体的には次のような方法があります。

  • 使われているアプリやサービスを評価する
  • それらのツールを使って従業員が行おうとしていることを理解する
  • 企業データを安全に守る方法についてユーザーを教育する
  • 安全かつ効率的なより良いソリューションを割り出す

決め手となるのは、柔軟性と管理のバランスがうまく取れるようなポリシーを企業が構築することです。IT リーダーとビジネス リーダーが互いに協力して、生産性向上のために必要なアプリを従業員が使えるようなポリシーを作成し、サポートする必要があります。それと同時に、データを保護し、企業リスクを最小限に抑えるための管理システムを整えることが大切です。

—Frost & Sullivan、「The Hidden Truth Behind Shadow IT」(シャドー IT の背景にある事実)、2013 年 11 月


  1. IDG、「Consumerization of IT in the Enterprise(CITE)」(企業における IT コンシューマライゼーション)、2014 年 3 月
  2. 「Gartner Says Digital Business Economy is Resulting in Every Business Unit Becoming a Technology Startup」(Gartner の見解: デジタル ビジネス経済により、すべてのビジネス部門がテクノロジー スタートアップになる)、2014 年 10 月 6 日
  3. Frost & Sullivan、「The Hidden Truth Behind Shadow IT」、2013 年 11 月
  4. Accenture、「Consumer IT: The Global Workplace Revolution has Begun」(消費者向け IT: グローバルな職場改革の始まり)、2011 年
  5. IDG、「Consumerization of IT in the Enterprise(CITE)」、2014 年 3 月および Frost & Sullivan、「The Hidden Truth Behind Shadow IT」、2013 年 11 月
  6. Forrester、「Telecom & Mobility Workforce Survey」(テレコムおよびモビリティ労働力調査)、2013 年
  7. Flurry Analytics、「2014 year-end survey of 2.079 trillion app sessions」(2.079 兆アプリ セッションの 2014 年末調査)、2015 年 1 月
  8. 出典: ソーシャル レポート「Harnessing the tyranny of autonomy: the Dropbox problem and the manager’s dilemma」(Dropbox の問題点とマネージャーのジレンマ)、ラリー・ホーズ、2014 年

  • Nara Narasimhan(G Suite ソリューション ストラテジスト)、Veronique Lafargue(G Suite シニア プロダクト マーケティング マネージャー)

  • トピック
    BYOD, クラウド ストレージ, ファイル バックアップ, ファイル共有, G Suite, Google ドライブ

  • 職種
    IT リーダー

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