導入事例

株式会社テレビ東京ホールディングス

G Suite でコストや手間を削減できた上に「BYOD」も実現できました

情報システム局 情報統括部部長 齋藤 善昭さん  情報システム局次長 兼システム部長 大関 潔さん  技術局制作技術部 段野 祐一郎さん

グループ会社でポータルシステム共通化の要請

テレビ東京ホールディングスは、2011 年 11 月に G Suite を 1,800 アカウント導入した。その契機となったのは、それまで利用していた社内ポータルシステムのハード老朽化と、2012 年 4 月末が期限となるライセンス更新であった。

「 2011 年 2 月頃から、情報システム局では社内ポータルシステム更新の予算を確保しつつ、別のポータルシステムの検討をスタートしました」と当時、情報システム局でポータルシステム導入を担当した段野 祐一郎さん(現・技術局制作技術部)は言う。

システム更新要請のポイントは大きく 3 つあった。1 つめは、パフォーマンスの向上およびメンテナンスの手間の軽減である。2007 年に導入したオンプレミス型の社内ポータルシステムは、コンテンツの増加とともに、表示速度が遅くなったり、原因不明の障害が 2 カ月に 1 回ほどのペースで発生するようになっていた。「その対策として、1 カ月に 1 回、休日を利用してサーバーの再起動をかけて凌いでいました。しかし、障害発生時に対応できるスキルを持った人員の不足や “原因不明” という精神的なストレスが溜まっていて、今後も “お守り” を続けるのは難しいという結論に達したのです」

また、同社はメールシステムとしてアプライアンスサーバを利用していたが、こちらも定期的にサーバーを再起動する手間がかかっていた。

2つめは、グループ会社への面展開への要請である。2010 年 10 月 1 日にテレビ東京ホールディングスを設立しグループ経営強化に舵を切る同社は、グループ各社とのコミュニケーション強化を図るべく共通のポータルシステムを導入することになった。

「テレビ東京ホールディングスおよびその傘下 3 社と、テレビ東京の子会社 12 社の計 16 社で、外部スタッフ含めアカウントを持たせる対象は約3,000 人います。しかし、それにはコストが大きな壁になっていて、より低コストの製品を必要としていました」と情報システム局情報統括部長の齋藤 善昭さんは述懐する。

それまで、グループ会社間の情報共有は、各社の管理担当者がテレビ東京の社内ポータルから得た情報を自社のサイトに転載したり、メールでお知らせするなど手間をかける形で行われていたのである。

BYOD によるセキュリティ課題解決の必要性

Google の製品は、自由度が高く、サードパーティーの便利な製品も豊富。自分たちで自由に拡張していける余地がありますね。

そして、3つめの要請が BYOD( Bring your own device )、つまり個人所有の携帯端末の業務利用への対応である。情報システム局次長兼システム部長の大関潔さんは次のように打ち明ける。

「テレビ局では、働く人の半数が社外で仕事をしています。そういう人たちは机の上の電話やパソコンのメールよりも、個人所有のモバイルデバイスを連絡手段としてひんぱんに使っていました。そのため、社外でも仕事のメールがチェックできるように、個人的に Gmail などのアドレスを取得して、そこへ転送している人が数百人もいました。」

これにはいくつかの問題があった。まずはセキュリティ面。携帯端末を紛失した際など、メールの内容が流出してしまうリスクが大きい。また、個人アドレスから送信する際に会社のアドレスを cc に入れ忘れると、送信メールが会社のメール BOX に残らない。from を会社のアドレスに設定変更せずに使う人が多いため、返信は個人アドレス宛てになり、会社のメールアドレスよりも個人アドレスの方が仕事用になってしまうという状況も発生していた。

「メールの転送リスクは長年の課題だったが、社外から社内メールサーバへアクセスするには設備の強化が必要で、さっとメールを見たいのに SSL-VPN 機器へのログインが必要など使い勝手も悪かった。ならば、社内ポータル更新のタイミングに合わせて、これらの課題を一気に解決するシステムへのリプレイスを検討しよう、という運びになったのです」と大関さんは説明する。

G Suite のコストは Office365® の半分以下

G Suite に決定。その要因について …まずはコスト。3 製品の中でコスト目標が達成できそうなのは G Suite だけでした。

情報システム局が比較検討した社内ポータルシステム製品は、当初は十数製品に及んだ。そこから、1 人あたりの目標コスト月間 500 円、および既存の社内ポータルシステムで利用していた機能が引き続き利用できるという条件で、社内ポータルシステムの新バージョンへの単純更新、および Microsoft Office365® もしくは G Suite へのリプレイスに絞り込んで検討を進めた。

その結果、2011 年 7 月、G Suite に決定。その要因について、段野さんは次のように言う。「まずはコスト。3 製品の中でコスト目標が達成できそうなのは G Suite だけでした。Microsoft Office365® は、最低でも G Suite の倍以上はかかりました。また、G Suite へのリプレイスで、既存の社内ポータルシステム時代のコストを半減できました」

機能面については、いずれの製品も甲乙はつけ難かったが、「それまで使っていた社内ポータルシステムは機能が豊富な点は優れていると思うが、使いこなせていないという実態もあった」と大関さんは認める。社外から気軽に利用できないため、カレンダー機能も 20 % 程度の利用率にとどまっていた。

また、クラウド製品の有利さも大きなメリットと受け止められた。大関さんは次のように説明する。「設備投資の会議でシステム更新を申請するたびに『もう更新するのか』という声が上っていました。放送機器は 10 年ぐらいの更新サイクルであるのに対し、システム製品は 5 年サイクルだったからです。このため、何かしらの機器が毎年、更新の対象となるので、そういった認識が持たれてしまっていました。そこで、機器の更新が不要なクラウドのメリットが大きく浮上したのです」

BYOD 対応の先進的なケースに

G Suite にリプレイスすれば公式に Gmail が使えることになります。そうすれば、転送による情報漏えいリスクが減り、送信メールや既読/未読も一元管理できるので、真のマルチデバイスが実現できます。

そして BYOD 対応としても、G Suite は最適と考えられた。すでに多くの従業員が個人的に Gmail ユーザーで、その頃急激に増え始めていたスマートフォンとの相性が良かったからである。「 G Suite にリプレイスすれば公式に Gmail が使えることになります。そうすれば、転送による情報漏えいリスクが減り、送信メールや既読/未読も一元管理できるので、真のマルチデバイスが実現できます」と大関さんは満足げに言う。

BYOD はどこの会社でもすぐに導入できるというものではないが、テレビ局という仕事においては、みんなが望んでいる機能だった。セキュリティの維持や運用の事を考えると、システム部門の多くは BYOD を後回しにしたり、限定的な導入を検討するかもしれない。しかし、テレビ東京ホールディングスでは、稼働当初から利用者全員が BYOD を利用できる環境を整えた。

「会社としては BYOD を推奨している訳ではありませんでした。しかし、スマホ利用者の急激な増加は『個人のスマホで使えない Gmail なんて要らない』という状況を生み出していました。そこで『スマートフォンの業務利用におけるセキュリティガイドライン』を作成し、禁止はしないけど個人のスマホを使うのだったらルールを守ってね!というスタンスにしました。一人一人に責任の意識を持ってもらうため、誓約書(電子版)の提出も義務付けました。」と大関さんは説明する。MDM などの課題は残るが、BYOD の実態を認めた上で、その利便性の向上およびセキュリティ確保を会社として整備する、という先進的なケースとなった。

Google ドライブの共有機能を多目的に活用

番組制作には複数の協力会社の数多くのスタッフがかかわりますが、例えば音声のレベルなど、スタッフ間で共有しなければならない事柄の確認が簡単かつタイムリーにできるようになりました。

G Suite の導入により、さまざまな効用が現れている。まずは Google ドライブ のドキュメント共有機能。「番組制作には複数の協力会社の数多くのスタッフがかかわりますが、例えば音声のレベルなど、スタッフ間で共有しなければならない事柄の確認が簡単かつタイムリーにできるようになりました」と段野さん。また、テレビ局であるだけにトップメッセージなどの動画による情報共有が活発に行われているが、この共有も楽になった。「動画のフォーマットを気にする必要がなく、インターネットなので海外支局とも簡単に共有できる」と齋藤さんは補足する。「さらに、Google ドライブ を活用すれば e-ラーニングも可能です。わずかなスクリプトを付け加えるだけで回答を採点して返すことが簡単にできますから」

それ以外にも、Gmail へのリプレイスにより、その「エイリアス」機能の利便性がクローズアップされた。「1つのアカウントで複数のメールアドレスを作成することができるので、出向先のメールアドレスを使う場合や結婚して姓がかわった人でもエイリアスを追加するだけで継続利用できる。これは便利」と大関さん。 「 Google の製品は、自由度が高く、サードパーティーの便利な製品も豊富。自分たちで自由に拡張していける余地がありますね。柔軟にシステムを拡張していきたいユーザーには最適ではないかと思います」と大関さんは結んだ。

※ G Suite (旧 Google Apps for Work )