導入事例

日本財団

外部とのコラボレーション推進の大きな力とするとともに“コスト半減”や“メール容量 500 倍”などのメリットを実現

情報コミュニケーション チームリーダー 吉倉和宏さん

Web と連動させた基幹系システムで業務効率化

業務の効率化のため、積極的にシステム化を進めてきました。

市民生活を、税金を原資とする国(行政)に任せるだけの社会から、NPO などの民間組織が公の仕事をすることで支え合う社会を目指して、NPO などの活動を助成金や情報で支援している日本財団。

「そういった理想を実現させていくためには、受け身的に助成金への応募を待っているだけではなかなか前に進みません。職員が積極的に現場を訪問し、一緒に課題の解決策を見出して有効なアドバイスを行うといったアクティブな活動が不可欠です。しかし、職員は約 100 人と限りがあり、同時にこなしていかなければならない事務作業も多くあります。そこで、業務の効率化のため、積極的にシステム化を進めてきました」とシステム統括グループ情報コミュニケーションチームリーダーの吉倉和宏氏は言う。ちなみに、助成金の申請は年間で約 7200 件あり、40 人の職員で約 3500 件を選出する。選出された助成対象の事業を、職員一人あたり大規模なもので 30 件ほど、小規模なものでは 100 件以上を担当し、その運営状況をウォッチしている。

システム化の流れは、概ね次のとおり。まず、95 年より小規模な会計システムが稼動。97 年には当時最新のグループウェアを導入し、1 人 1 台の LAN・電子メール、掲示板に移行している。一方、2000 年には Web ベースの基幹系システムを構築し、2000 年問題に対応した会計システムを含む様々なシステムを連携させながら運用し、業務の効率化を実現。助成金の申請や審査から活動報告書の公開まで、Web ベースのシステムで一連の業務が一気通貫でできるようになった。

使用グループウェアの様々な問題

そして、残されたのが電子メールを含むグループウェアの問題である。まず、外部からアクセスすることが困難で、事実上、財団内での情報共有しかできない状態にあったことが大きな課題となっていた。

「支援対象の団体と情報共有し、コラボレーションを促進させる必要があります。そこで、仕方なくポータルサイトのメーリングリストを使うなど、職員はそれぞれのやり方で何とかこなしているという状態でした。職員の『外からアクセスできるようにしてほしい』というニーズは増大の一方でしたね」

そのシステムは外とつなげることもでき、実験的にアクセスを試みたこともあったが、スピードの遅さや送信できる情報量に制約があり、使いものにならず結果的に内部限定となったという経緯があった。

また、利用していたグループウェアは、職員の出入りのたびにユーザー設定の作業をしなければならなかったが、それらに手間がかかることから、作業の一部を外部のシステム会社に依頼していた。その作業には一定の時間がかかるうえ、人事異動の状況によっては管理の手間もばかにならなかったという。

さらに、1 アカウント 50 MB というメールの容量制限や、スパム対策も問題となった。「170 ユーザーで月間約 50 万通のメールを受信するが、そのうち 80%はスパム。多すぎて通常のメールの送受信が 1 週間も遅れたことがある」と吉倉氏。その対策ソフトの費用は年間約 200 万円に達し、大きな支出となっていた。

求める条件を満たせるのは G Suite だけ

以上のような課題を解決すべく、新しいシステムの検討に入った。

「大前提として、使用していたグループウェアはやめて Web ベースのシステムに移行することを決めていました。基幹系がすべて Web ベースのものでしたし、外部との連携を考えれば当然の結論だと思います」

2009 年度の初めに端末を入れ替える時期を迎えることを契機に、2008 年 7 月にプロジェクトチームを立ち上げ、5、6 社のベンダーの提案を受け付けた。

「この時、Google は後回しにしました。自分を含め、個人としてフリーで使える Gmail や Google カレンダー を使っている職員が結構いたので、使い勝手や機能はある程度わかっていたからです」

各ベンダーの提案は、「求める条件を満たさないと思えるものがほとんどであった」と吉倉氏は言う。提案は、何かのメールソフトを中心に利用し、必要な時は Web からアクセスすることができるなど、Web で完結するものがなかった。

「その方式は速くて便利なものかもしれませんが、PC が故障したらメールもなくなってしまうことは無視できません。すでにある基幹系システムもブラウザだけで処理できる設計で、特別なソフトは入れていない。システム運営サイドからすると、メールソフトのバージョンアップやセキュリティへの対応は、気を遣う上に費用もかさむ。メールソフトを入れて、費用をかけながらメール消失のリスクをとることは避けたかったわけです」

G Suiteでコストは従来の半分以下

G Suite は 200 アカウント導入しました。5 年間で 600 万円と 3 分の 1 以下で済みます。しかも、人事異動のたびに外部に依頼していた設定作業も不要になり、柔軟で迅速に対応できる有形無形のメリットは比べものになりませんね。

検討の結果、 G Suite の導入が決定。次に挙げるような数々のメリットを得られることがその理由である。

まず、Web 上で稼動が完結する G Suiteならば、世界のどこからでもアクセスできることが大きかった。

「我々が支援する市民活動はオープンなものです。通常、カレンダーを外部に公開することはあり得ないと思いますが、日本財団では職員が外部の人とカレンダーを共有する。それが簡単にできる G Suite のオープンさは、我々の業務と親和性が高いと期待しています」

また、Postini の強力なテクノロジーによって機能強化された Google Message Security サービスにより、万全なスパムやウィルス対策が可能となり、特別なソフトを使用する必要もない。

さらに、メールの容量が 1 アカウントあたり 25 GB と一気に 500 倍に増やせる。そして、以上のようなメリットが享受できる上に、コストを半分以下に削減できることが決定的となった。それまでは、サーバーのリプレイスに要するハードやメンテナンス、設定などの費用に 5 年間で 1000 万円以上かかっていた。スパム対策を含めれば 2000 万円以上。

「 G Suite は 200 アカウント導入しました。5 年間で 600 万円と 3 分の 1 以下で済みます。しかも、人事異動のたびに外部に依頼していた設定作業も不要になり、柔軟で迅速に対応できる有形無形のメリットは比べものになりませんね」

G Suiteで活動のパワーアップを

G Suite の導入には、一部の職員から心配の声も寄せられた。

「メールボックスが外にあることで、『セキュリティは大丈夫か?』『もし Google がなくなったらメールはどうなるのか』といった声が上がりました。『Google がなくなることも心配かもしれない。でも、どこかのメールソフトがなくなってセキュリティの問題があるままサポートを受けられなくなる可能性のほうがもっと心配』と説明し、セキュリティも一定の施策を講じることで理解を得ました。そういった心配より、外部からもアクセスできることや、メールの容量が大幅に増えるなどのメリットのインパクトのほうが格段に大きかったと思います」

外部からアクセスできることのセキュリティに関しては、次のような施策を講じている。まず、システムはデフォルトで外からアクセスできない設定にしておき、申請手続きによりアクセスできるようにする。申請には、「セキュアな環境からアクセスすること」「使用後はログアウトすること」といった使用条件の遵守を“宣誓”し、自己責任で管理してもらうという内容である。事故を未然に防ぐために利用を制限してきたこれまでの考え方とは全く異なるルールが必要になっている。

2009 年 4 月上旬から全職員が G Suite を一斉に使い始める。今後の課題について、吉倉氏は次のように言う。

「職員に G Suite を使い倒してもらうことは勿論のこと、リリースされる新しいツールにも、どんどんチャレンジし続けて欲しい。そして、民が公の仕事をする社会を目指して、日々の活動をパワーアップしていきたいと思っています」

※ G Suite (旧 Google Apps for Work )