導入事例

キユーピー株式会社

G Suite で全グループ従業員間の情報共有を促進ワークスタイルを変革する

経営推進本部 経営企画部 情報企画担当部長 清水 透さん

メールに偏重したコミュニケーションのあり方を変える

第7次中期経営計画ではワークスタイルの変革が盛り込まれることとなり、 ICT 部門としてそのための道具立てを行なうことが主要なテーマとなった。

「キユーピーマヨネーズ」でお馴染みの大手食品メーカーのキユーピーは、2013 年 7 月、国内 60 社に G Suite を 7300 アカウント導入した。その背景には、大きく 3 つの要因があった。1 つめは、17 年間使い続けてきた Lotus Notes® が更新時期を迎えること。2 つめは、BCP 対策の必要性がクローズアップされたこと。そして 3 つめは、2013 年度から始まる第 7 次中期経営計画への対応である。

「こうした要件が重なることを見越し、2010 年から検討を開始しました」と経営推進本部経営企画部情報企画担当の清水透部長は言う。特に第7次中期経営計画ではワークスタイルの変革が盛り込まれることとなり、 ICT 部門としてそのための道具立てを行なうことが主要なテーマとなった。

「当グループでは離れた事業所間のコミュニケーションの手段はメールと電話が中心で、ある管理職の中にはメールが 1 日 100 通以上、アクティブウィンドウベースで 2 時間以上使われていたのです。17 年も使っていた Notes はグループウェアとしてそれなりに使いこなしてはいましたが、ファイルサーバーは拠点単位で立てていたので、全社での情報共有ができなかったという事情もあります」

同グループでは「コの字戦略」と呼ぶ各社間・各事業部門間の連携促進が図られていた。「コの字」とは、スーパーの売り場を指す。買い物客は入り口から入り、野菜、魚、肉、惣菜と各売場をコの字を辿るように買い進むが、それぞれの売り場でキユーピーグループの商品をもっと買ってもらうような仕掛けを講じるために、相互の連携を高めていこうという主旨である。このため、様々なグループ会社や部署間でのやりとりが急増したという要因もあった。

BCP も考慮しクラウド型オールインワンプロダクトの導入を決定

2011 年 5 月、清水さんら ICT 部門は、メールだけに頼らないコミュニケーション/コラボレーション促進のためのツール選定に着手する。まずは大枠として、Lotus Notes® の利用契約を更新し、それにテレビ会議システムやファイル共有システム、モバイル対応など諸機能を組み合わせるという形と、オールインワンのプロダクトにリプレイスするという 2 方向を検討。組み合わせパターンにおいて、ある支店に WEB 会議システムを試験的に導入したり、法人向けのモバイルデバイスへのリモートアクセスサービスをテストして効果検証を行った。こうして検討した結果、BCP も考慮してクラウド型オールインワンのプロダクトを導入することに決定。その理由を清水さんは次のように説明する。

「部分最適でコストパフォーマンスに優れたツールを選ぼうとの考えでしたが、それぞれのバージョンを合わせていく作業が大変で、また合わせると結果的にコスト高になることがわかりました。このコストは各社に負担してもらうことになりますが、それだと各社はコストメリットを考えて導入を見送るツールが出てくることが考えられました。グループ全体で情報を共有し連携を促進させ、ワークスタイルを変えることがそもそもの眼目でしたので、それでは意味がありません。それで、オールインワンのプロダクトを導入することにしたのです」

総合点で G Suite が1位に

検討ポイントは機能、セキュリティ、展開や運用のしやすさ、コストなど。細かい項目に分け、点数に重みづけをした上でチェックしていった。その結果、総合点で G Suite が1位となる。

この段階で、グループ全体の情報システムのセキュリティ規約を変更した。それまでは ICT 部門が堅確な基準を策定し、情報が社外に漏れないようにしていた半面、共有しづらいものとなっていた。

「全体共有という大名目のためにその方針を変え、ハードルは下げる代わりに各社、各部門で情報漏えいなどのリスクを考え、利用規約を遵守してほしいという要請を行うことにしました」

この新しいセキュリティ基準のためにプロジェクトを立ち上げ、方針策定や規約づくり、運用教育などを行なうことにした。

そして、オールインワン型プロダクトの選定に入る。清水さんらは他社の製品と G Suite を比較検討。検討期間のぎりぎり最後の頃に登場した他社製品の最新バージョンも検討に加えた。検討ポイントは機能、セキュリティ、展開や運用のしやすさ、コストなど。細かい項目に分け、点数に重みづけをした上でチェックしていった。その結果、総合点で G Suite が1位となる。

2012 年 12 月、経営会議で G Suite の導入が決定された。

導入直後から「便利になった」という声が届く

プロジェクト単位など範囲を自在に設定して共有でき、一つの文書を共同編集できる機能が非常に喜ばれています。

2013 年 1 月からプロジェクトメンバーでテスト導入した後、3 月に ICT 部門と、各部門の先行ユーザーに並行導入をスタート。そして 7 月に全体に導入するという 3 段階を踏む。

「本来は東日本、西日本などともっと分けて時間差をつけるとともに、各部署に先行ユーザーを立てて職場内にレクチャーしてもらう計画でしたが、諸事情でほぼ一発勝負の導入となりました。このため、私含めて ICT 部門のメンバーが集中的に全国の拠点をレクチャーして回ることにしたのです。17 年間使い続けたシステムを変えるわけですから、一部説明に時間を要する場面もありましたが、このおかげで数週間は続くといわれた導入時の混乱は、2 日程度で落ち着きました」

まずは Gmail を中心に利用をスタート。

「若手社員中心に、導入直後から『便利になった』という声が届き始めました。以前は職場から離れる際に Lotus Notes® をインストールした自分のノート PC を持ち歩く必要がありましたが、G Suite 導入後は出先の端末に自分の ID を打ち込めば同様に使えるようになったためです。また、役員など上層部から iPad-mini を配布し始めましたが、皆持ち歩いていますね(笑)」

また、Google ドライブが好評だという。

「プロジェクト単位など範囲を自在に設定して共有でき、一つの文書を共同編集できる機能が非常に喜ばれています」

以前、リモート会議システムとファイル共有ソフトを使って遠隔地間の会議を行っていたが、使い勝手はあまりいいものではなかったという。「そういった下地があったから、Google ドライブの良さがすぐ伝わったのではないか」と清水さんは指摘する。

ワークスタイルの変革に Google+ の活用は必須

グループ全従業員間の部門や距離・時間といった仕切りを取り去って融合を促進させるものにしていきたいと考えています。

その後、Google カレンダーを会議室などの設備予約に使い始めている。今後、Google+ を積極的に活用していく方針であるという。

「情報共有やワークスタイルの変革という観点で、SNS の活用は必須であると考えています。目下、テストを行って問題点を抽出しているところです」

ワークスタイルの変革において、清水さんは次のようなスタイルを想定している。例えば会議においては、まずその場で書類を配布し説明の後に検討や議論を行なうというスタイルであったところを、事前に Google ドライブで書類を共有しておき、会議の場では検討から入るように変える、といったイメージだ。

「Google カレンダーをベースにして ToDo 的に情報を集約し、会議の書類へのリンクもそこに張っておくといった使い方をすれば、ワークスタイルをもっとスマートにしていけると思っています」

2013 年 10 月に竣工したばかりの同社の本社オフィス「仙川キユーポート」のフロアは、役員の執務スペース含めて間仕切りはなくオープンな環境を構築している。

「リアルなコミュニケーションの良さの一つは、何かわからないことがあった時に近寄ってすぐに聞けるところにあると思います。バーチャルでも、チャットでちょっと聞いてみる、メールで正式に確認する、ハングアウトでフェイス・トゥ・フェイスでやりとりするなど、ICT でもいろいろなことができようになりました。今後、ICT の役割を、グループ全従業員間の部門や距離・時間といった仕切りを取り去って融合を促進させるものにしていきたいと考えています」と清水さんは力を込める。